発表会のリハーサルでした
先日、発表会のリハーサルを行いました。
毎年、本番の数週間前に行うこのリハーサルでは、ピアノ伴奏との合わせや、合奏の練習を中心に進めています。
当日は、生徒さん一人ひとりがピアノ伴奏で本番と同じように演奏し、加えて合奏のリハーサルも行いました。
リハーサルが終わると、「思うように弾けなかった」「普段はできているところで間違えてしまった」と少し落ち込んだ表情を見せる生徒さんもいます。
しかし、それで良いと思っています。
むしろ、それがリハーサルの本来の役割です。
リハーサルは「本番と同じように上手に弾けるかを確認する日」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、本番を想定して演奏することは大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、本番までに何を直せばよいのかを見つけることです。
リハーサルは課題を見つける日だと思っています。
自宅では何度弾いても失敗しない場所が、人前に立った瞬間に弾けなくなることがあります。
逆に、「ここは危ないな」と思っていた場所が、なぜか何事もなく通過できてしまうこともあります。
ですが、後者の「たまたま弾けた」は、実はあまり喜べることではありません。
なぜなら、本番でも同じように運良く成功する保証はないからです。
そのため、基本的にリハーサルでは、一度弾いて終わりにはしません。
一回目で上手く弾けても、もう一度演奏してもらいます。
二回続けて弾けて初めて、「ある程度安定して弾けている」と考えられるからです。
逆に、一回目は成功したのに二回目で崩れてしまうのであれば、その部分はまだ本番で安心して弾ける状態ではありません。
リハーサルは、そのことに気付くための時間でもあります。
また普段の練習では、自分一人の空間で演奏しています。
途中で止まっても構いません。
何度でもやり直せます。
しいところだけを取り出して練習することもできます。
ところが、本番ではそうはいきません。
ステージの上で演奏が始まれば、途中で止まることはできません。
「あ、今のところをもう一回弾きます」と言うこともできません。
最後まで演奏を続ける必要があります。
この「止まれない」という状況は、想像以上に大きなプレッシャーになります。
さらに、ピアノ伴奏があります。
普段は一人で練習している生徒さんも、伴奏が入ると景色が一変します。
テンポの感じ方も違えば、音の響きも違います。
ピアノの音に耳を傾けながら、自分の音も聴き、相手と呼吸を合わせて演奏しなければなりません。
これは決して難しいことではなく、「慣れ」が必要なことです。
だからこそ、本番前に伴奏者と一緒に演奏する機会はとても重要になります。
人前で演奏すると、誰でも緊張します。
大人でもそうですし、プロの演奏家でも緊張します。
「緊張しない人」がいるわけではありません。
違いがあるとすれば、緊張した状態でも演奏できるように準備しているかどうかです。
人前でどうなるかを見て初めて、本当の意味での仕上がりの進捗具合が分かると思っています。
そして、リハーサルで特に大切にしていることがあります。
それは、「止まらないこと」です。
演奏中に間違えてしまうことはあります。
音を外すこともあります。
弓の向き、ボーイングが逆になってしまったりすることもあります。
しかし、本番ではその場で立て直して最後まで演奏することが何より大切です。
途中で止まってしまうと、それまで積み重ねてきた音楽の流れも止まってしまいます。
多少音を間違えたとしても、最後まで音楽が続いていれば、お客様にはしっかりと演奏として伝わります。
この「瞬時に切り替える力」は、普段の練習だけではなかなか身につきません。
だからこそ、リハーサルのような少し緊張感のある場で経験しておくことに意味があります。
余談ですが、学生の頃、師事していた先生が 「私のレッスンのほうがコンクールより緊張すると生徒に言われる」と笑っていたことがあります。
もちろん、そこまで強度の高いレッスンをすることは現実的には難しいです。
ですが、普段から「今が本番だったら」という気持ちで弾く習慣は、とても大切だと思います。
一曲を最初から最後まで止まらずに弾く。
ステージ上をイメージして、お辞儀をしてから始めてみる。
家族に聴いてもらう。
スマートフォンで録音・録画してみる。
そんな小さなことでも、本番を意識した練習になります。
本番に強い人は、特別な才能があるというより、「本番を想定した練習」を積み重ねている人なのだと思います。
そして、今年もたくさんの生徒さんが合奏に参加してくださいました。
初めて参加する生徒さんも多く、最初は少し戸惑っている様子も見られました。
一人で弾けば簡単なパートでも、周りにたくさんの音がある中で自分のパートを演奏するのは意外と難しいものです。
周りにつられてしまったり、自分の弾いている場所が分からなくなったりすることもあります。
しかし、それも合奏の大切な経験です。
合奏の目的は、ノーミスで弾くことではありません。
自分一人では作れない響きを感じること。
誰かと呼吸を合わせること。
自分の音が全体の中で役割を持っていることを知ること。
そして、「みんなで演奏するって楽しい」と感じることです。
ヴァイオリンは、もともと一人で演奏するためだけの楽器ではありません。
オーケストラや室内楽など、誰かと一緒に演奏する場面がとても多い楽器です。
発表会のソロの曲であっても、本来はピアノとのアンサンブルです。
だからこそ、教室では毎年発表会の最後に合奏を取り入れています。
年齢も経験も違う生徒さんが一つの音楽を一緒に作る時間は、とても貴重です。
技術だけでは得られない音楽の楽しさを感じてもらえたら、それだけでも合奏を行う意味があると思っています。
発表会まで、残り約3週間となりました。
今回のリハーサルで上手くいったことも、思うようにいかなかったことも、それぞれ本番への大切な材料です。
リハーサルで失敗したからといって悲観する必要はありません。
むしろ、今見つかった課題は、本番までに改善することができます。
反対に、「なんとなく上手くいった」だけで安心してしまうことのほうが心配です。
大切なのは、リハーサルの結果そのものではなく、その経験を残りの3週間にどう生かすかです。
本番では、誰も完璧な演奏を期待しているわけではありません。
聴いてくださる方に音楽を届けようとする気持ち、一生懸命最後まで演奏しようとする姿勢、その積み重ねが何よりも心に残る演奏になります。
リハーサルは、あくまでリハーサルです。
ここからが、本当の意味での仕上げの期間です。
一人ひとりが今回見つけた課題と向き合い、本番では「今できる最高の演奏」ができることを楽しみにしています。
発表会は、生徒の皆さんがこれまで積み重ねてきた練習の成果を披露する場であると同時に、音楽を楽しみ、成長を実感できる大切な一日です。
完璧な演奏を目指すのではなく、それぞれが精一杯音楽を届ける姿を温かく見守っていただければ幸いです。
♪ 発表会のご案内 ♪
日時:2026年7月19日(日) 13:45開演(13:30開場)
会場:さいたま市プラザノース ホール
(詳細はこちら)
発表会は一般公開しておりますので、どなたでもご来場いただけます。
ご来場をご希望の方には、事前にご予約をお願いしておりますので、当ホームページの「お問い合わせフォーム」よりお気軽にお申し込みください。
ヴァイオリンに興味をお持ちの方や、教室の雰囲気をご覧になりたい方も歓迎しております。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
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