2026年度 三橋ヴァイオリン教室 発表会を終えて
今年の夏の発表会も、おかげさまで無事に終えることができました。
出演者のみなさん、ご家族のみなさま、ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
毎年発表会が終わると、「今年も無事終わった」という安堵と同時に、それぞれの生徒さんがこの日に向けて積み重ねてきた数か月間を思い返します。舞台の上で演奏している時間は数分かもしれませんが、その数分のために積み重ねてきた時間はその何倍もの時間になります。
今回は例年とは少し形を変え、ヴァイオリンとハープの発表会をそれぞれ別日に開催しました。
そのため、今回はヴァイオリンの生徒さんだけでの発表会となりましたが、子どもから大人まで、本当にそれぞれがよく準備してきたと思います。
発表会に向けての練習は、普段のレッスンとは少し意味合いが違います。
いつまでに仕上げるのかという明確な目標(締め切り)があり、その日に向かって逆算しながら練習を進めていく必要があります。思うように弾けない日もあれば、急に弾けるようになる日もあります。時にはスランプのような状態になることもあります。
また、当然舞台の上で人前で演奏をするわけですから、曲の難易度に関わらず、いつもとは違った強度で仕上げなくてはいけません。
そうした過程を乗り越えて迎える本番だからこそ、発表会には普段のレッスンでは得られない経験が詰まっています。
特に、今回初めて参加した生徒さんにとっては、「舞台の上でヴァイオリンを演奏する」ということ自体が未知の世界だったと思います。
客席にはたくさんのお客様がいて、照明が当たり、静かな空間の中で一人で演奏する。
レッスン室や自宅で弾くのとはまったく違う緊張感があります。
練習では普通に弾けていたことが急にできなくなったり、逆に、本番だからこそ集中力が高まり、今までで一番良い演奏ができたりすることもあります。
本番というものは、何度経験しても予想どおりにはいかないものです。
もちろん、初めてでも二回目でも、準備してきたことを完璧に演奏できれば、それはとても嬉しいことです。
しかし、私は発表会では「完璧に弾けたかどうか」だけが成功ではないと思っています。
多少ミスがあったとしても、最後まで演奏をやり切ったこと、その舞台に立ったこと自体が大きな財産になります。
もちろん、「どうせ本番ではミスするから」と最初から考えながら練習するのとは全く違います。
普段の練習では、一音一音を丁寧に確認し、できる限り完成度を高めることを目指すべきです。
ただ、本番というものは、自分ではコントロールできない要素もたくさんあります。
緊張や会場の響き、お客様の存在など、普段とは違う環境の中で演奏する以上、思い通りにいかないこともあります。
だからこそ、演奏が終わった後は、ミスだけに目を向けるのではなく、「この日のためにここまで準備できた」「最後まで弾き切れた」ということも、ぜひ前向きに評価してほしいと思います。
発表会という「締め切り」があるからこそ、人は集中して努力できます。
締め切りのない練習は、つい先延ばしになってしまうこともありますが、本番の日程が決まっていることで、「あと何週間でここまで」「来週までには暗譜を終えよう」といった具体的な計画が立てられます。
そして、その計画通りにいかなかったことも含めて、多くのことを学びます。
この「本番に向けて仕上げていく」という過程と経験そのものが、演奏技術だけでなく、計画性や集中力、精神力も育ててくれるのです。
今年の発表会でも、普段の練習の集大成として臨んだ生徒さんもいれば、コンクール本番へ向けた舞台練習という位置付けで参加した生徒さんもいました。
それぞれ目標は違いますが、全員が「今の自分にできるベスト」を尽くして演奏できたのではないでしょうか。
また、発表会当日はリハーサルも行いました。
ピアノとの伴奏合わせや合奏のリハーサルは、あらかじめ別日に時間を設けて行っているため、当日は基本的に「場当たり」が中心です。
場当たりとは、実際のホールで舞台への出入りや立ち位置、演奏する位置、合奏での並び方などを確認するリハーサルのことです。ホールによって舞台の広さや響き、動線は少しずつ異なるため、本番前に実際の舞台で確認しておくことはとても大切です。
これも「舞台慣れ」の一つだと思っています。
経験を重ねてくると、「自分は出番の何分前から集中し始めると調子が良い」「舞台袖では静かに待った方が落ち着く」「少し体を動かしてから舞台に出る方が弾きやすい」など、本番で力を発揮するための自分なりのルーティンが少しずつ見つかってきます。
こうしたことは、レッスン室ではなかなか身につけることができません。実際に舞台を経験し、その都度振り返ることで、自分に合った本番の過ごし方が少しずつ分かってくるものです。
演奏の技術だけでなく、本番に向けて心と身体を整える方法を知ることも、舞台経験を積む大きな意味の一つではないかと思います。
また、今年は「成長」を強く感じる場面がたくさんありました。
数年前までは「初めての発表会」「まだ始めたばかり」という立場だった生徒さんたちが、今ではすっかり教室の「中堅」となり、堂々とした演奏を聴かせてくれました。
以前は音を出すことだけでも精一杯だった生徒さんが、今では音色やフレーズ、音楽の流れまで考えながら演奏している姿を見ると、本当に積み重ねの力は大きいと感じます。
長く続けている生徒さん自身は、自分ではその変化に気付きにくいものです。
しかし、初めて参加した生徒さんや保護者の方から見ると、「数年後にはこんなふうに弾けるようになるんだ」という、とても分かりやすい目標になります。
教室にはさまざまな年齢、さまざまな経験の生徒さんがいます。
だからこそ、お互いの演奏を聴くことにも大きな意味があります。
上級者は後輩たちの目標となり、初心者は未来の自分を思い描くことができます。
そして、その循環が教室全体の雰囲気を作っていくのだと思います。
これからも、一人ひとりが「次はもう少し良い演奏をしたい」と思えるような環境でありたいと思っています。
今回の演奏を振り返って、「うまくいかなかった」と感じたところがあった人もいるでしょう。
しかし、それは決して悪いことではありません。
むしろ、本番だからこそ見えてきた課題は、今後の練習における最高の練習材料です。
テンポが速くなってしまった。
緊張すると左手が固まってしまう。
暗譜が不安だった。
どれも漠然と「もっと練習しよう」で終わらせるのではなく、「では、そのために何をすれば改善できるのか」を考えながら、具体的で実践的な練習につなげていってほしいと思います。
失敗を失敗のままで終わらせるのではなく、次の成長につながる経験へと変えていくことが大切です。
そして、今年も最後には合奏を行いました。
今年は少し難しいかなと思う曲もありましたが、みなさん本当によく弾けていました。
合奏は、ソロとはまったく違う力が必要になります。
自分だけが正しく弾けば良いわけではなく、周りの音を聴きながら、テンポや音量、音色を合わせていかなければなりません。
相手をよく聴き、自分の役割を考えながら演奏することは、音楽の楽しさをより深く知るきっかけになります。
教室としても、合奏は「アンサンブルに興味を持ってもらうきっかけ」という位置付けではありますが、一人では決して経験できない世界だからこそ、できるだけ早いうちから経験してほしいと考えています。
最初は戸惑うこともあると思いますが、経験を重ねるごとに周りの音が聴こえるようになり、音楽を共有する喜びも感じられるようになります。
ソロとアンサンブル、その両方を経験することで、演奏の幅は確実に広がっていきます。
さて、教室の今後の予定ですが、
2026年10月31日(土)には「教室合同アンサンブル・プロジェクト2026」を開催予定です。
こちらは、ヴァイオリン・ピアノ・チェロ教室が合同で開催する、普段のレッスンではなかなか経験できないアンサンブル(室内楽)を中心としたコンサートになります。
今回の発表会とはまた違った音楽づくりを楽しんでいただければと思います。
そして、来年の発表会は2027年7月25日(日)を予定しております。
一年という時間は長いようで、本当にあっという間です。
今回感じた達成感も悔しさも、ぜひ次の一年につなげていってください。
詳細につきましては、決まり次第ホームページにてお知らせいたします。
改めまして、ご出演くださった生徒のみなさん、ご家族のみなさま、ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
一人ひとりの努力が実を結び、とても温かい発表会となりました。
また次の舞台で、みなさんがさらに成長した姿を見られることを楽しみにしています。
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